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東京湾と相模湾、二つの海を抱く横須賀の海岸群。個性豊かなエリア別ビーチガイド

三浦半島の中核をなす横須賀市は、東側の東京湾、西側の相模湾という表情の全く異なる二つの海に面しています。そのため、一口に「横須賀の海」と言っても、波の穏やかな内海から、富士山を望む開放的な外洋まで、エリアごとに驚くほど多様な個性を持っています。

今回は、地元を深く知るローカルメディアの視点から、横須賀市内およびその周辺に点在する代表的な海岸・ビーチをピックアップ。それぞれの特徴や現在の利用状況、目的に応じた楽しみ方を詳しく解説します。

1. ファミリーでの海水浴やマリンスポーツならここ:和田長浜海岸(長浜海岸)

横須賀市の南西部に位置する「和田長浜(わだなはま)海岸」は、相模湾に面した緩やかなカーブを描く美しい海岸です。実はこの海岸、ちょうど中央付近に横須賀市と三浦市の市境があり、北側の横須賀市側を「長浜(なはま)海岸」、南側の三浦市側を「和田(わだ)海岸」と呼びますが、実際には一体となった広大なビーチとして親しまれています。

  • 抜群の透明度と穏やかな波 三浦半島内でも比較的高い水質を誇り、天候が良い日には優れた透明度を見せます。入り江状の地形のため波が比較的穏やかで、小さな子ども連れのファミリーでも安心して過ごせるのが特徴です。
  • 磯遊びとマリンスポーツの共存 砂浜の両端は豊かな岩場(タイドプール)になっており、シュノーケリングや小さな生き物観察などの磯遊びに最適です。また、年間を通じてウインドサーフィンやシーカヤック、SUP(スタンドアップパドルボード)のゲレンデとしても非常に人気が高く、海水浴シーズン中も遊泳区域外では多くの愛好家で賑わいます。
  • アクセスと設備 夏季の繁忙期(7月~8月など)は有料となる大きな駐車場が隣接しており、車でのアクセスが非常に便利です(シーズンオフの平日は無料で開放される日もあります)。海岸には公衆トイレが設置されているほか、シーズン中は海の家も開設され、更衣室や食事の提供、レジャー用品のレンタルなどが利用可能です。

2. 絶景の夕陽と歴史ある奇岩を望む:秋谷海岸・立石公園

西海岸(相模湾側)を北上した場所に位置する「秋谷(あきや)海岸」は、賑やかなリゾート地とは一線を画した、落ち着いた情緒が漂う大人のビーチです。

  • 景勝地「立石」を擁するロケーション 海岸の端には、高さ約12メートル、周囲約30メートルに及ぶ巨岩が海突き出るようにそびえ立つ、古くからの景勝地「立石(たていし)」があります。江戸時代の浮世絵師・歌川広重が『相模庵茂利人 立石の図』として描いたことでも知られ、現在も多くの写真家や観光客を引きつけてやみません。特に夕暮れ時、立石の向こう側の相模湾に沈む夕陽と、条件が良ければその背後に浮かび上がる富士山のシルエットは圧巻の一言です。
  • 散策やリラクゼーションの場として 注意したい点として、現在の秋谷海岸は「正式な開設海水浴場」ではありません。ライフセーバーの常駐や、いわゆる一般的な海の家の連なる開設はないため、本格的な遠泳や海水浴よりも、波打ち際の散策、ビーチコーミング、あるいは海岸沿いのカフェやビーチハウスで静かに海の空気を感じる過ごし方が主流となっています。隣接する立石公園には公衆トイレや無料の県営駐車場が整備されており、ドライブの目的地や休憩スポットとしても優秀です。

3. 東京湾の歴史と、春夏の風物詩・潮干狩り:走水海岸

横須賀駅や横須賀中央駅から見て東側、観音崎へと向かう東京湾沿いにあるのが「走水(はしりみず)海岸」です。古事記や日本書紀の日本武尊(ヤマトタケル)の伝説にもその名が登場する、非常に歴史の深いエリアです。

  • 貴重な自然海岸と潮干狩り 東京湾の内海にありながら、今なお豊かな砂浜が残されている貴重な海岸です。波が非常に穏やかで遠浅なため、毎年春から夏にかけては地元漁協の支所によって「潮干狩り場」が開設されます(不漁時などを除き、原則として有料・要事前確認)。アサリなどの貝類を求めて、シーズンには多くの家族連れがバケツを手に訪れるのが地元の風物詩となっています。
  • 走水水源地公園との連携 海岸のすぐ近くには、明治時代にフランス人技師ヴェルニーが横須賀造船所のために築造した「走水水源地」の一部を整備した「走水水源地公園」があります。かつては桜の時期など限られた期間のみの開放でしたが、現在は芝生広場を含めて通年一般開放(時間制限あり)されており、歴史的なレンガ造りの建造物を眺めながら、海沿いの芝生でピクニックを楽しむことができます。

4. 無人島の高揚感と歴史遺構巡り:猿島(猿島公園)

横須賀の海を語る上で外せないのが、東京湾に浮かぶ唯一の自然の無人島「猿島(さるしま)」です。三笠公園にあるターミナルから連絡船で約10分という手軽さでありながら、日常を完全に離れたアイランドリゾートの雰囲気を味わえます。

  • 旧軍の要塞跡を巡る探検 島内はかつて東京湾を守る要塞として使用されており、明治時代に造られたレンガ造りの要塞跡、砲台跡、トンネルなどがそのまま残されています。緑深い自然の中に静かに佇む赤レンガの遺構は、まるでタイムスリップしたかのような独特の世界観を醸し出しており、島内の散策ルートを歩くだけでも十分に見応えがあります。
  • 現在のビーチ利用における注意点 以前は「猿島海水浴場」として夏場に多くの遊泳客を迎え入れていましたが、近年の潮の流れの変化によって砂浜の形状が変わり、水深が急激に深くなる箇所が発生したことなどから、安全面を考慮して当面の間、海水浴場としての遊泳は開設中止となっています。 ただし、砂浜エリア自体への立ち入りや、島内でのバーベキュー(機材レンタル制)、テイクアウトフードを片手に海を眺めるレジャーは従来通り営業しています。東京湾を行き交う大型船を眺めながら、無人島ならではの開放的な時間を過ごすスポットとして根強い人気を誇ります。

横須賀の海を満喫するためのアドバイス

横須賀の海岸エリアは、目的によって訪れるべき場所が明確に分かれます。

  • 泳ぐ・アクティビティを楽しむなら、相模湾側の和田長浜海岸
  • 景色を撮る・静かに癒やされるなら、夕陽の名所である秋谷海岸(立石)
  • 歴史を感じる・季節のレジャーなら、内海の走水海岸猿島

また、西海岸エリア(和田長浜・秋谷など)へ車で向かう場合、夏の週末は国道134号線を中心に激しい渋滞が発生することがあります。午前中の早い時間帯に現地へ到着するよう計画するか、公共交通機関(京急線各駅からバス利用)をうまく組み合わせることで、よりスムーズで快適な海の一日を過ごすことができるでしょう。

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